製材されたもの


どんな木を使いますか?

仏所に見学に来られたかたのほとんどがこの質問をされます。

では、仏像にとって材料となる木は
何を重要とされるのでしょうか?

まずはよく使う檜から。


それも木曽檜。

そう言われて、おおスゴイと思われるのは建築関係の方くらいですかね。

檜はもちろん木曽以外の土地 ( 九州、四国、本州は福島県あたりまで ) で広く分布していますが、
木曽檜は、檜の中の檜なんです。
ブランドですね。

自然の厳しい木曽で育まれた檜は、香りの良さはもちろんのこと
そのキメの細かさと色合いの美しさ
狂いの少なさを特徴とし、また彫刻に適した柔らかさがあります。

まっすぐに目が通っているので、寄せ木づくりにしたりできます。

楠は個人的に良く使います。

ノミを入れた時の感触 (めちゃカタイときもあり ) と、飛び散るように香るスーッとした香りがとても好きです。

独特の木目で、いろいろな方向から刃先が入ってくれるので私のつくりたい作品には向いているのです。

比較的暖かい地方 (九州、四国、本州中南部
)に分布しており飛鳥時代にすでに仏像に使われています。

榧(かや)も必要に応じて、特に小さく細かな彫刻の仏像に使います。

少し前までは、インド産の
老山白檀を良く使ってたのですが、
原木の輸入が無くなってからは材料自体が希少価値の高いものとなってしまいました。

いずれの材にも仏像にとっての大切な共通点があります。

それは古くから言われていることで

とても大切な事なんです。

仏像は香木でつくること。



       唐草の蔓のところを進めています


時間の合間を見て、去年仕上げた聖観音の光背を彫っています。

本体が楠なので光背も楠の木です。

光背の形もいろいろあります。
大きく分けて円形、宝珠形、舟形とあります。

デザインにおいては輪光や放射状に射す光をあらわした針後光や水煙や唐草などなど、懲りだしたらいくらでもバリエーションはあります。

仏像というと、本体そのものばかり語られがちですが台座と光背が揃ってこそ、その世界観が完全なものとなります。

今回の観音さまには舟形がいいなと、舟形の透かし唐草のデザインでいこうと決めてました。
台座はもちろんすでに出来上がっているので
全体を鑑みての選択です。

作りかたもいろいろあるなかで、楠なので真ん中合わせの方法になりました。

実寸の図面を作り、適当な寸法に木取った材をかたどって船形のかたちにしていき
唐草光背のデザインを写しとり、透かしのところは抜いてしまい、と、結構手間ですよ。

で、やっと唐草を彫っていくのですが。

ここからは楽しいはずなのに、いかんせん、固いんだなこの木。

香りの良い楠は好きな材なんですが、この楠はチョットクセの強いやりにくい材なのです。

綺麗に出来上がったすがたを想定しながら、コツコツ気長に彫っているのですよ。



     截金の様子。十数種類の文様を施す。 


ほんの40年程前には、截金師と呼ばれる人たちは日本にわずか5人しかいませんでした。

1400年前に遠く大陸よりもたらされたこの技法は日本でのみ伝えられ今にいたります。
(なので世界に5人ということですね)

截金の技法は極秘とされていました。

純金箔を材料として使う上に熟練した技術と時間を要することで
仏像において最高の仕上げであるかわりに
高価になってしまった事が、截金師の激減につながったと考えられます。

真やさんがまだ彩色や仏画などの仕事を始めた頃、截金師を雇い入れた事がきっかけとなり見よう見真似で截金を習得したのが截金師となる始まりです。

截金というとその特殊な技法に目が行きがちですが
大切なのはその技法で仏像をどうみせたいかなのです。

大きさもスタイルも性格も異なる仏像のそれぞれに
相応しい文様や幾何学的なデザインを
複雑な曲面に合わせて自由自在に筆で金箔を操り貼ってゆく。

下がきもないのですよ。

真やさんは、豊富な経験からくる彩色と截金のマッチングに截金でしか表現できない絶妙なデザインを創造することで独自の截金の世界を展開してきました。

緻密に計算されて積み上げてゆくような截金の見せ方は他の誰にも真似のできない美しさであり
仏像だからこそ発揮できる技法の全てを
心を込めてやり尽くしているのです。

本当に截金が好きなんだなぁとそばで見ていて思います。

あまりにも真やさんの截金は、従来の截金師とは異なる世界であるが故に

"截金彩師"と名乗っています。

苦労して作り上げた仏像に截金を施すという事は、仏師にとってもいつもできるわけではない最高の仕上げなのです。



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